8月19.20日、2日間にわたって行われた第1回全国高校生SBP交流フェア
SBPとは 〜第1回全国高校生SBP交流フェア パンプレットより〜
ソーシャルビジネス・プロジェクトの略で、地域の課題をビジネスの手法を用いて解決していこうという取り組みです。具体的には、高校生が地域資源(ひと、モノ、自然、歴史、名所旧跡、産業など)と交流し、見直し、活用して“まちづくり”や“ビジネス”を提案していく、そしてその取り組みを、地域で応援し支えていこうというものです。
SBPは、三重県多気町にある相可高等学校食物調理科が運営する高校生レストラン「まごの店」などを先進事例に、2013年4月に三重県南伊勢高等学校南勢校舎で最初のSBPが立ち上がりました。今、この地域に根ざした取り組みが全国に広がっています。
北は青森県から南は沖縄まで、全国9つの高校が参加し、三重県立相可高校 生産経済科、南伊勢高校SBPのみなさんが進行を担当し、皇學館大学の学生さんがサポート。
“学生の学生による学生のための祭典”2日目、20日(土)に行われた
相可高校食物調理科 調理クラブ(三重県)のみなさんと、西原町学生ソーシャルビジネスプロジェクトNS²BP(沖縄県)を代表して4名の学生さんとの“交流”に密着しました。
ドラマ化もされた「高校生レストラン」で有名な三重県立相可高等学校 食物料理科 調理クラブ。
朝7時すぎ、三重県立相可高等学校に到着。
調理室へ向かうと・・・すでに仕込みの真っ最中。
聞けば、朝6時から市場で食材を自分たちで購入し、仕込みをしているとのこと。
この日の仕込みは、高校生レストラン「まごの店」で提供される献立80食と、全国高校生SBP交流フェア関係者全員のお弁当205食。
わたしが意外だったのが
これだけたくさんの人がいるにもかかわらず、仕込み場がとっても静かなこと。
もっと先輩や先生からいろんな指示が飛び交っているかと思いきや、言葉は必要最低限。
もくもくと仕込む人、言葉を交わさずとも、なにやら出たり入ったりの動きをする人。。。
そして、最も印象的だったのは、誰もが今、目の前にある食材に向き合う真剣な眼差し。
佇まいからして、もはやプロ。。。
こちらは、この日初めてさばくという「まごち」に苦戦気味。
あまりに“新鮮”なため、包丁が入りにくいのだそう。
一人の生徒さんが先生を呼びにいき、
村林新吾先生が登場すると、、、
まごちの仕込みを担当していた人はもちろん、周囲にいたメンバーが、その動きを察知して、先生のもとに集まります。
一瞬たりとも、見逃さない!という気迫を感じる眼差し。
村林先生から直接教えてもらえるのは1回限り。
【同じことは2度教えない方針】なので、生徒さんも必死です。
ひとつひとつが真剣勝負。
私からは、それぞれの生徒さん誰もが自らテキパキと動いているように見えましたが、村林先生にお話を伺うと、動けているのは約10人とのこと。
そもそも“できる基準”も目指しているレベルも高い。
今年5月に開催された先進七カ国(G7)の首脳らが集う伊勢志摩サミットでは、配偶者プログラムで、首脳配偶者の昼食に料理をおもてなしする大役を務めたことは記憶に新しい。
また、調理クラブの生徒さんの就職率は100パーセント!
全国的に有名な一流の高級料亭やホテルに就職する生徒さんもいらっしゃり、全国どの料理店でも求められる人材ばかりが育っていきます。
また8割が地元での就職を選ぶとのこと。地域を支える大きな力となっています。
仕込みも時間との戦い。
終わりに近づくと、その後の段取りが生徒さんに伝えられ、「集合」と声をかけるまでもなく、察した生徒さんたちがどんどん集まってきました。
その後、まごの店に移動。
到着すると、きびきびとオープン準備がスタート。
そこへやってきたのは、
沖縄県西原町に在住する高校生が主体となって活動している「西原町学生ソーシャルビジネスプロジェクトNS²BP」のメンバー4名。
初めて「まごの店」を訪れた印象を伺うと・・・
「同じ高校生とは思えない」と口を揃えるみなさん。
ピリピリした空気、機敏な動きを間近で感じて「すごい!」「やばーいっ!」と目を輝かせてらっしゃいました。
オープンが近づくにつれて、さらに高まっていく緊張感。
見ているこちらまで気が引き締まった、迫力ある挨拶の練習。
オープンすると、その緊張感はさらに高まります。
開店と同時にたくさんのお客様がご来店。
この日用意された80食は1時間ほどで完売。
どのメニューにも、ひとつひとつ生徒さんが手作りする
プロ顔負けの出汁をたっぷり含んだ、ふわふわの出し巻き卵と
カラリとおいしく揚がった天ぷらが入っています。
NS²BPメンバーも調理場の中で見学させていただいたり、
生徒さんからの説明を受けてお皿洗いも経験!
想像以上にスピードが早く、テキパキしないとすぐ洗い物がたまってしまうことを実体験。
今回の交流を通して、今後に生かしてみたいことを伺うと
「挨拶もすごく大きな声で迫力もあってすごかった!まずはこうした挨拶から取り入れて実践していきたい」とお話くださいました。
みなさんがご自身の肌で感じたことは、大きな財産。
NS²BPの今後の活動にどんな風に生きていくのか楽しみです。
ちなみに・・・こちらは関係者でいただいたお弁当。
わたしもいただきましたが、どのお料理もお出汁がしっかりきいて、めちゃくちゃおいしい!出汁の風味や香りもしっかり味わおうと、ゆっくり噛み締めたくなるお料理ばかり。
お弁当がふるまわれた昼食時に挨拶をされた、こちらの生徒さんからのひとこと。
「みなさんの笑顔が見られて、僕たちも幸せです」
日々、精一杯今を大切に、大好きなものと向き合ってらっしゃることは、
こうした“言葉”にも表れるのかもしれません。
彼は、ミラノ万博にも村林先生のアシスタントとして参加しています。
今回、わたしが密着させていただいたのはほんの一部ですが、相可高等学校での先進的な取り組みが全国へと広がろうとしていることを目の当たりにし、高校生たちのまっすぐな力と、それを支える地域の大人たちの情熱と、今後の可能性を感じた第1回全国高校生交流フェアでした。